子供の誕生をきっかけに学資保険の申し込みを考える人も多いと思います。学資保険も積立NISAも「毎月一定額を積み立てて将来に向けて資産を形成する制度」としては同じ目的となります。そこで、学資保険を選ぶか、積立NISAを選ぶか悩む人が多いですが、この記事ではそれぞれの特徴を踏まえてどちらを選べばよいか考えていけたらと思っています。
ただ、長ったらしい文章を読む暇がない!という方向けに結論を先に書いちゃいます
- 【学資保険】お金はほとんど増えないけど、確実に教育費を貯めたい人は学資保険をオススメ
- 【積立NISA】うまく運用できれば学資保険より圧倒的にお得だけど、損をすることもある
- 余裕があるならば、学資保険と積立NISAの両方を使う手段もある
ちなみに我が家では毎月3万円を自動積立しているセゾン投信の口座をそのまま積立(つみたて)NISAに変更して、学資保険の代わりに子供のため教育費を貯めていこうと思っています。

積立(つみたて)NISAが出て、ますます複雑になるNISA制度
2018年から新しく積立(つみたて)NISAがはじまりますが、現行NISA、ジュニアNISA、そして積立(つみたて)NISAとNISAだけでも3種類あり、ますます複雑化するばかりです。
ところでみなさん、NISA(小額投資非課税制度)ってご存知でしょうか。

意外にも世間からの認知度が低かったNISA(ニーサ)
日経新聞の記事(NISAの認知度5割止まり 日証協の全国7000人調査)によれば
日本証券業協会は18日、証券投資に関する全国調査の結果を公表した。少額投資非課税制度(NISA)の認知度は「口座開設済み」「内容理解済み」「聞いたことがある」との回答を合わせても、全体の51.4%にとどまった。
とのことで、まだまだNISA口座を使って実際に投資信託や株式を売買したことのある人は少なく、聞いたことがある、と回答した人を合わせてもNISA制度の認知度は5割程度しかありません。
さらに2018年から積立(つみたて)NISAもはじまり、NISA制度はさらに複雑になっています。そもそも税金の話にうとい日本人に節税効果のあるNISAを宣伝してもなかなかNISAのメリットは伝わりにくいですよね。
NISAの最大のメリットは運用益に対して「非課税」であること
このように何種類もあるNISAですが、NISAの最大のメリットは「本来かかる税金がかからなくなる(非課税)」だけなのです。つまり、余分な税金を払わなくても良くなります。
したがって投資に興味ない人にはそもそもNISAなんて必要ありません。
生活が苦しく、余剰資金で投資をして、ビギナーズラックで利益が出た。でも確定申告は難しそうだし、利益が出たのに税金なんて払いたくない。
そう考えてはじめて「税金を節約、もしくは払わなくて良くなる方法ないかな?」と考えたときに出てくるのがNISAなのです。
我が家のNISA積立状況と学資保険代わりの積立(つみたて)NISA
我が家でも2017年からはじめたNISAですが、2017年のNISAの半分は米国ETFに使い、半分は国内の投資信託に使い切りそうです。
しかし(現行)NISAは5年間しか継続して投資できず、年間120万円までなのでトータルで600万円までならNISAの非課税の恩恵を受けることが出来ます。
ただ、2018年から積立NISAが始まる関係で、子供の教育費をまかなうために積立(つみたて)NISAを利用して学資保険の代わりに教育費を貯めていこうと考えています。
そもそも積立(つみたて)NISAって今のNISAと何が違うの?
2018年から新しくはじまる積立NISAっていまのNISAと何が違うのでしょうか。下に簡単な表を作ってみました。
※NISAには他にジュニアNISAもありますがいまのところ検討していないため、この記事での説明を割愛します。
積立NISA | 現行NISA | |
年間投資額 | 40万円 | 120万円 |
制度の終了年 | 2038年 | 2023年 |
非課税期間 | 20年 | 5年 |
投資商品 | 投資信託・ETF | 株・投資信託・ETF・REIT |
利用可能年齢 | 20歳以上 | |
開設できる口座 | 一人につき一口座 | |
資産の途中引き出し | いつでも可能 |
積立(つみたて)NISAと(現行)NISAの違いは「年間投資額」と「非課税期間」です。積立(つみたて)NISAの場合、年間投資額は40万円まで、非課税期間は20年間(トータルで800万円)できるのに対して、(現行)NISAでは年間投資額が120万円、非課税期間は5年間(トータルで600万円)です。
毎月10万円ほど投資に当てられれば現行NISAでいいし、毎月3万円ほどをコツコツと積み立てていきたいという人には積立NISAが向いています。
金融庁の方針では(現行)NISA制度が終わる2023年以降は積立(つみたて)NISAに一本化されるとのことですが、先ほど書いたようにNISAはまだ認知度も低く、2014年にNISA制度が始まってから何度も方針(新しいNISA制度を作ったり)が変更されていることを考えるとまだまだNISA制度の「テコ入れ」は入ってきそうですね。
積立(つみたて)NISAは子供用の学資保険の代わりになる制度?
積立(つみたて)NISAに限らず、NISAは保険商品ではないので、NISAそのものが学資保険代わりになり得ません。
あくまでもNISAを利用して、自分で投資する商品を選んで資産運用して学資保険代わりにする、という使い方です。以前の記事でも少し書きましたが、私が学資保険に加入しない理由は「返戻率の低さ」です。

ただ、返戻率は低いけど、学資保険のメリットは18歳の満期時に確実にまとまったお金が入ってくる、しかも生命保険の役割(途中で親が死んでしまった場合、そのあとの掛け金は支払わなくてもいい)もあったりするので、一概に学資保険が悪いとも考えていません。
では積立(つみたて)NISAを利用してお金を運用した場合、学資保険の代わりになるでしょうか。
ケース1:払い込み期間10年で満期になる学資保険で計算した場合(返戻率107.2%)
返戻率の高さで知られるソニーの学資保険でシミュレーションしてみます。
毎月の保険料15,540円、払い込み期間10年で払い込み保険料の総額が1,864,000円、満期時の受け取り総額が200万円の場合、返戻率は107.2%となっています。払い込み期間が10年間ということで年利に直すと、0.72%です。1%切っていますね。年利が1%を切っていても銀行の利息よりはだいぶ高いです。ただ、実際に満期となるのは子供が18歳のときなので、18年間の年利は0.4%となります。
ケース2:積立NISAを利用し毎月15,540万円を年率3%の投資信託で10年間、運用した場合
毎月15,540万円を10年間、年率3%の投資信託で運用した場合、投資元本1,864,800円に対して、投資による運用益は307,726円(非課税)になっているので、10年後には合計で2,172,526円ほどになっています。
この時点でソニーの学資保険よりも+172,526円多くなっていますね。
これは子供が10歳になったときにもらえるお金ですが、仮にこのお金をそのまま3%で運用していた場合、子供が大学に行く8年後はいくらになっているでしょうか?
(元金)2,172,526円を年利3%で8年間運用できた場合=2,752,091円
になっています。学資保険と比べてなんと+752,091円となりました。複利の力、恐るべし。運用益だけ見ると圧倒的に積立(つみたて)NISAのほうが有利になります。
※上記の計算はNISA口座で運用した場合です。必ずしも3%のリターンを保証する制度ではありません。
積立(つみたて)NISAは現行NISAと併用できないため、家族の口座を利用する
メリットが多いように感じる積立(つみたて)NISAですが、一番のデメリットは現行のNISAと併用できないことです。毎年、現行のNISAと積立NISAを選ぶことが出来るようですが、毎年選ぶなんて不便ですよね。
NISAを利用できるのは基本的に一人に一口座です。そこで家族に口座を開設してもらい、積立(つみたて)NISA口座で運用するのがよさそうです。
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